仄かな燈火

渡部唯生

マルクス

マルクスにとって社会が現実的対象である。勿論、今を生きる我々にとっても、現実的である事は社会的である事だ。孤立した個人、文明以前の未開人は、抽象的存在であり、社会的関係なしに我々は生存できない。現実とは抽象的個人の想像物ではなく、社会的人間が他の人間と取り結ぶ関係性においてある。社会なしに我々は誕生する事も生存する事もできない。論理も科学も、社会が先行して初めて成り立つものだ。